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原子炉製造技術:ロシア企業取得狙う 日本、官民で防衛

原子炉製造技術:ロシア企業取得狙う 日本、官民で防衛

毎日新聞 2009年5月8日 2時30分

 世界随一の原子炉製造技術を持つ日本メーカーをロシア企業が買収しようとし、日本が官民挙げての防衛策で阻止していたことが7日、明らかになった。麻生太郎首相は11日から来日するロシアのプーチン首相と日露原子力協定調印で合意するが、協定締結は両国の攻防の末の妥結策でもあった。

 07年2月28日、来日したフラトコフ露首相(当時)は安倍晋三首相(同)と会談し、原子力協定の交渉を始めることで一致した。2日後、「ロシアのアルミ王」と呼ばれた富豪デリパスカ氏が、首相随行団から離れ、技術者を伴って日本製鋼所室蘭製作所(北海道室蘭市)を視察した。

 原子炉の心臓部の圧力容器は、継ぎ目を極力減らすため巨大な鋼塊をプレスして造る。原子炉は大型化しているが、同製作所は世界最大の約600トンの塊を造る技術を持ち、他の追随を許さない。

 技術に驚嘆したアルミ王は、関係者に言った。「あの会社の株を取得できないか。買収したい」

 デリパスカ氏はプーチン首相との親密な間柄で知られる。日本政府に「買収はロシア政府の意向だ」と危機感が走った。

 半年後の同年9月、日本製鋼所は20%以上の株取得を目指す投資家に目的などの説明を求める「事前警告型」の防衛策を導入。

 また、経済産業省は、外国資本が航空機・原子力・電気・ガス会社の10%以上の株式を取得する場合、外為法に基づく事前届け出義務があることをロシア側に繰り返し伝えた。

 08年6月、モスクワで開かれた原発事業の国際会議。日本政府の原子力委員会の神田啓治元専門委員は、ロシア国営原子力会社「ロスアトム」のスパスキー副総裁から「あの工場を買いたいが厳しいようだ。政府間協定の正攻法でやりたいから協力してくれ」と持ちかけられた。

 7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)でもロシア側から「日露首脳会談で締結する」との観測が流れ、その後、交渉は異例の速さで進んだ。

 背景にあるのは、温暖化対策で世界中で原発新設が進むとされる「原子力ルネサンス」。日本の技術を導入したいロシアの熱意と、ロシアのウラン濃縮能力を活用したい日本の思惑が一致した。

 日本が原子力協定を結ぶのは1955年の米国以来7カ国目。かつて日米同盟の仮想敵だった核大国との提携は、半世紀を超える日本の原子力エネルギー政策の転換点となる。