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アベノミクスの円安政策の次には何が来るのでしょうか。 東京オリンピック以降に冬の時代が来るとして、何の準備ができるのかと模索するブログです。

Q&A: 原油価格高騰

教えて!サーチナ:原油価格高騰 中国の対策

Q:原油価格が高騰してますが原因は需要の増加(主にBRICs)と中東の政情不安などから供給量の減少だということですが、では中国などに対する対策はないのでしょうか?

また対策はもうすでにしているのでしょうか?

A:

1.BRICsは一様ではない

2.BRICsの石油依存度は意外と低い

3.原油価格の先は読めない

4.原油価格高騰の一因は長すぎる投資期間

5.中国

6.ロシア

7.ブラジル

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 1.BRICsは一様ではない

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ジャーナリズムではBRICsの台頭=原油価格高騰と繰り返して言われています。しかし、統計から見てみると、関係がないとはいえ、捉え方が単純化されていないかという面も指摘できます。

これは、途上国の生活水準の向上を呪い、途上国の人の不幸を喜ぶような、不穏な考え方に必要以上に結びついてしまう懸念があります。

BRICsの"C"、中国がエネルギー消費国として台頭したのは間違いありません。今や一国で世界の石油消費の1割に迫っており、2002年から2007年にかけての消費増加量では世界の1/3を占めます。

ところが、BRICsの"C"以外、"BRIs"は状況が異なるのです。

インドは世界の石油消費の3%を占めますが、消費量としても消費増加量としても、まだ主因をなすほどの規模ではありません。ごく一部のお金持ちがジャーナリズムに取り上げられるために、暮らし向きが"先進国並み"に豊かになったと勘違いされがちです。

しかし、インドの将来は期待されるとはいえ、現時点では多くの貧困人口を抱えています。

ロシアとブラジルは、石油消費国してではなく、逆に石油生産国として台頭してきていますから、異なるカテゴリーに入れなければいけません。

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 2.BRICsの石油依存度は意外と低い

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BRICsのうち、まだ増加するエネルギーの主力を石油で賄った国は1つもないということも指摘できます。

中国は石炭を自国エネルギーの「戦略物質」としており、世界の4割を占める生産国、世界の4割を占める消費国です。その消費量は、(石油換算トンで見ると)石油の4倍もあり、2002年から2007年にかけての消費増加量は石油の5倍に達しています。

もしも中国が増加するエネルギーを石炭で賄わなかったら、原油高騰はもっと悲惨なことになったと考えられます。

もっとも、石炭は大気汚染物質を放出し、石油よりもエネルギー当たりの二酸化炭素排出量が多いなど、中国の石炭消費は様々な問題も起こしています。

インドも石油よりも石炭の消費が多い国です。

ロシアのエネルギーの主力は石油ではなく天然ガスであり、ブラジルは増加するエネルギーを、水力発電バイオエタノールで賄おうとしています。

自動車は石炭や天然ガスではなく石油が必要になりますが、電力は石油よりも安価な石炭や天然ガスで賄うことができます。

中国やインドの自動車普及率はまだ高くないため、石油以外のエネルギーが主になっている面もあります。

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 3.原油価格の先は読めない

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石油消費の増加量は5年で1割未満でしたが、原油価格は5年で5倍になりました。石油消費の増加量は1年で1%強でしたが、原油価格は7月までは1年で2倍になり、1バレル140ドル台という高値を付けた後に反落しました。1バレル90ドル〜100ドル台という価格も長期的に見ると高値であり、経済に与える負担は大きいと考えられます。

何年か経てば価格はもっと落ち着くかもしれませんが、短期的にどういう推移を辿るかはまだ不明です。

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 4.原油価格高騰の一因は長すぎる投資期間

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原油価格が不安定になった要因には、1980〜1990年代の原油価格低迷期が続いたため、長い期間に渡って投資不足・技術開発不足が続いており、価格が高騰してもすぐには生産増強ができないこともあります。

油田開発の成果は、気が遠くなるくらい後にならないと出ないものです。

また、先進国の石油生産量が大きく減少しているために、政治的に不安的な場所への依存度が大きくなっていることもあります。

こうした要因はジャーナリストには指摘されることが少ないですが、言及される必要があろうかと思います。

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 5.中国

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中国は、エネルギー消費の少ない経済成長を掲げていますが、現状ではこの目標はうまく達成されてはいません。

建設ラッシュが大量のエネルギーを消費しており、世界中に輸出される工業製品もエネルギー需要を増大させています。

さらに、政府はインフレ問題の加熱を抑えるため、石油や石炭の価格転嫁を遅らせています。

しかし、これは石油・石炭企業の利益を圧迫して生産能力を抑制し、さらに資源消費の抑制に非協力的だとも批判されています。

したがって、これからは漸進的に国内のエネルギー価格の値上げを行っていくものと考えられます。

中国は世界有数の産油国ですが、近年は国内の油田開発が不振です。

それで政府は海外の油田開発を重視し、アフリカの新興産油国などの開発を促進するようになりました。

しかし、国際的に「問題にある」とされる国に深くかかわったため、欧米との政治的摩擦が強くなっています。

中国などの途上国のエネルギー対策としては、エネルギー効率に関する規制を強化して、古い設備を廃棄し、新しく効率の良い設備に改める必要があります。

なぜならば、エネルギーを節約する技術がないために、エネルギー消費量が大きくなる効果が甚大になっているからです。

しかし、統治の実効性に問題もあり、末端の機関は容易に取り締まりから逃れる傾向もあります。

自動車のエネルギー効率も遅れていると言われます。今後本格的な普及が見込まれる分野であるので、早い時期の改善が必要と言われます。

石炭を液化して石油分を賄おうという計画もありますが、今のところあまりうまくいっていないようです(?)。

水力発電風力発電といった、化石燃料以外のエネルギーの強化も掲げられています。

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 6.ロシア

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ロシアは1990年代以降、外資企業から技術を取り入れて、石油や天然ガスなどの資源の生産能力を拡大できるようになりました。未発見の資源は莫大な量になりうると言われています。

ただ、直近には政治問題が多く、外資の投資意欲が衰えており、生産能力増強に支障が出ていないかという懸念はあります。

中国と並んでエネルギー効率の悪い国でもあり、エネルギー関連な技術の導入も望まれます。

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 7.ブラジル

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ブラジルはサトウキビ由来のバイオエタノールを生産して、石油に頼らない自動車の使用を提唱しています。サトウキビは、アメリカのトウモロコシと比べ、エネルギー転換が容易で、二酸化炭素排出量削減効果が大きいと言われます。

国内の油田開発も進められており、やがては世界的な産油国になるのではないかとも言われています。

ブラジルはエネルギーの4割を水力発電で賄う、抜きん出た水力発電大国でもあります。

(1)各国の石油消費量・生産量の変化

2002年→2007年(増加量)、単位は石油換算トン、BPより

・中国

石油消費:2.47億トン→3.68億トン(+1.21億トン)

(※石炭消費: 7.14億トン→13.11億トン(+5.98億トン))

石油生産:1.67億トン→1.87億トン(+0.20億トン)

↑中国は石油よりも、石炭消費が急激に増大した

・インド

石油消費:1.11億トン→1.29億トン(+0.17億トン)

(※石炭消費: 1.52億トン→2.08億トン(+0.56億トン))

石油生産:0.37億トン→0.37億トン( 0.00億トン)

↑インドの資源消費は、中国ほど急速に増えてはいない

・ロシア

石油消費:1.24億トン→1.27億トン(+0.02億トン)

(※天然ガス消費: 5.00億トン→5.47億トン(+0.47億トン))

石油生産:3.80億トン→4.91億トン(+1.12億トン)

↑ロシアは石油の生産国として台頭

・ブラジル

石油消費:0.92億トン→0.96億トン(+0.05億トン)

(※水力消費: 0.65億トン→0.84億トン(+0.19億トン))

石油生産:0.74億トン→0.90億トン(+0.16億トン)

↑ブラジルは将来の産油国として期待される

・中東

石油消費:2.38億トン→2.93億トン(+0.55億トン)

石油生産:10.39億トン→12.02億トン(+1.63億トン)

・アフリカ

石油消費:1.18億トン→1.38億トン(+0.21億トン)

石油生産:3.78億トン→4.88億トン(+1.10億トン)

↑中東・アフリカの石油生産量は拡大が続くが政情は不安定

・先進国

石油消費:21.91億トン→22.49億トン(+0.58億トン)

石油生産:10.05億トン→8.99億トン(-1.06億トン)

↑先進国の石油生産量は大きく減少してしまった

・世界

石油消費:36.11億トン→39.53億トン(+3.42億トン)

石油生産:35.75億トン→39.06億トン(+3.31億トン)